最適化時には、PI Expert により、設計中の電源に必要な部品がすべて自動的に選択されます。PI Expert で入力仕様及び出力仕様が入力されると、複数のパラメータについて最適化処理が繰り返し行われ、複数の設計が行われます。次に作られた仕様に基づいてこれらの結果がランク付けされ、最適なソリューションが提示されます。
ツールの [デフォルトの設計設定] > [環境設定] メニューを使用すると、新規設計の最適化方法及び暫定最適化結果の表示方法を指定できます。また、[ソリューション フィルタを表示] ダイアログ ボックスで、表示する最適化ソリューションの数も設定できます。デフォルト の設計フォームでは、[ソリューション フィルタを表示] ダイアログ ボックスの表示をオンにできます。
設計オプション設計フォームでは、次のタイプの最適化が利用できます。
コスト
効率性 (LinkSwitch-XT、LinkSwitch-PL、TinySwitch-II、TinySwitch-III 及び TinySwitch-4 デバイス ファミリーでは利用不可)。
[アクティブ デザイン] > [最適化を開始する] メニューを使用すると、関連のユーザー入力を使用してアクティブ デザインの最適化プロセスを実行できます。[アクティブ デザイン] > [自動設計] メニューを選択すると、ユーザーにより入力されたパラメータはすべてオーバーライドされて作成中の設計に変更され、最適化が開始されます。最適化エンジンを使用することで、設計部品を柔軟に選択でき、必要としている結果が得られます。
コストの最適化のベースとなるコンセプトは以下の 2 つです。
最初に、選択された供給電力を満たす PI デバイスの中で、最も小さいものが選択されます。
このステップは、データ シートから抽出したデバイスの定格電力が、指定された出力を上回ることを単に確認するだけではありません。この最適化の第一段階では、重要な動作パラメータが多数考慮されます。その動作パラメータには、「Maximum Duty Cycle (DCMAX)(最大デューティ サイクル)」や「Peak Primary Current (IP)(ピーク一次電流)」、「Reflected Output Voltage (VOR)(跳ね返り電圧)」、「Peak To Ripple Primary Current Ratio (KP)(一次側におけるピーク電流とリップル電流の比)」等が含まれます。
次に、設定された供給電力を満たすトランス コアの中で、最も小型なものが選択されます。
適切な PI デバイスの選択と同様に、重要な動作パラメータが多数使用されてトランス コアの選択が行われます。そのパラメータには、「磁束密度 (BM 及び BP)」や「ギャップ長 (LG)」、「一次巻線層数 (L)」、「ボビンの大きさに合わせた巻線の物理的寸法を規定するフィット ファクター (FF)」等が含まれます。
「Cost Optimization (コストの最適化)」の作業では、コアや二次巻線の巻数、二次側出力の積み上げ構成、出力ダイオード等の組み合わせを変えた数多くの設計を、ソフトウェアに設定した基準に従って採点します。得点が高い設計はリスト化され、このリストは最適化の作業が完了するまでの間、保持されます。最適化作業が終わると、得点が高い設計のリストが表示されます。ユーザーは、このリストの中から、アプリケーションに最も適していると思われる設計を選択します。
変換効率の最適化は、TOPSwitch ファミリーと DPA-Switch ファミリーのデバイスだけで使用できます。「Efficiency Optimization (変換効率の最適化)」の作業を理解する上で重要となる要素は 2 つあります。
1 つは、指定された電力の供給が可能で、カレント リミットに対するマージンが十分に確保できる PI デバイスが選択されることです。
まず PI Expert では、指定された電力の供給が可能な PI デバイスの中で、最も小型なものを選択します。次に、このソフトウェアは、連続的に使える電源を設計するために、「一次側におけるピーク電流とリップル電流の比(KP)」の値を減らすように調整します。この値の減少に伴い、「Peak Primary Current (IP)(ピーク一次電流)」が減り、さらに一次巻線と二次巻線それぞれのピーク電流と実効電流が減少します。こうした電流の減少によって導通損が減少するため、電源全体の変換効率が高まります。
もう 1 つは、設定された電力を供給できるコアが選択されることです。
このステップでは、選択したコアが電力を供給できるかどうかだけではなく、極めて大きい損失が発生しないかどうかも確認します。この損失には、「Flux Density (BM and BP)(磁束密度)」によって決まるコア損失、「Primary Layers (L)(一次側巻線層数)」と「Primary RMS Currents (KP)(一次側実効電流)」によって決定される銅損、「Gap Length (LG)(ギャップ長)」によって決まる漏れインダクタンスが含まれます。
「Efficiency Optimization (変換効率の最適化)」では、「Cost Optimization (コストの最適化)」と同様に、数多くの設計を検討することで最適化を実行します。そして、得点が高い設計をリスト化し、最適化作業が終わるとこのリストを表示します。
PI Expert では、メイン ウィンドウの下部に最適化のステータスが表示されます。実現し得る最適化結果が複数表示されます。
[設計成功 (最適化完了)] は、作成した仕様に従って警告やエラーが返されることなく、ソフトウェアで正常に最適化が完了したことを示しています。
[設計成功 (最適化なし)] は、警告やエラーはないものの、設計が最適なものでないことを示しています。たとえば、巻線比が最適でない場合でも、エラーや警告は表示されません。
[設計の警告 (最適化完了)] は、設計は正常に最適化されたものの、1 つ以上の警告が発せられたことを示しています。詳細については、「設計の警告とエラー」を参照してください。
[設計失敗 (最適化なし)] は、最適化処理が作成された仕様を満たせず、また、1 つ以上のエラーまたは警告があることを示しています。
問題または不整合が検出されると、結果ウィンドウの下部に PI Expert により警告またはエラーのリストが表示されます。各行には、次の情報が含まれます。
メッセージ タイプ: 警告またはエラー
概要:エラーの簡単な説明
対処: 問題を解決する方法
- エラーについての詳細な情報及び提案される対処方法を表示するには、このアイコンをクリックします。
最適化のエラー及び警告の詳細については、PI Expert Suite のヘルプ マニュアルに記載されている「エラー リスト」のヘルプ トピックを参照してください。