PI Expert では、作成した仕様に適合するように、最適なフィードバック回路が自動的に設計されます。使用されているフィードバック回路または部品の値を変更する場合は、フィードバック バイアス フォームまたは部品フォームを使用します。
TOPSwitch ファミリーまたは DPA-Switch ファミリーなどの PWM コントロール回路ベースのデバイスを使用する場合には、二次側 TL431 フィードバック回路を使用できます。TOPSwitch ファミリーを使用して設計する場合、目標クロスオーバー周波数を 500 Hz から 3 kHz の間で設定することを推奨します。TOPSwitch ファミリーの場合は、LC フィルタでコーナー周波数が 10 kHz を上回るように、また DPA-Switch の場合は、コーナー周波数が 100 kHz を上回るように設計する必要があります。
推定ゲイン及び位相のボード線図では、部品の値やその他の重要な情報を変更した場合のループ バンド幅を表示することができます。[推定クロスオーバー周波数] 及び [推定位相マージン] を使用すると、電源システムの安定性を推定できます。この機能は、大きな負荷変動が予想され、出力電圧の発振の可能性が高いピーク電力設計において非常に重要です。
TOPSwitch ファミリーを使用して設計する場合、目標クロスオーバー周波数を 500 Hz から 3 kHz の間で設定することを推奨します。DPA-Switch を使用して設計する場合は、目標クロスオーバー周波数は、3 kHz から 10 kHz の間で設定する必要があります。クロスオーバー周波数をそれ以上高くすると、制御ループのノイズ感度が高くなるおそれがあるため推奨しません。このソフトウェアでは、制御ループの設計が最小 45 度の位相マージンで行われます。場合によっては、推定位相マージンが十分でない場合に、フェーズ ブースト ネットワークを追加する必要があります。フェーズ ブースト ネットワークは、クロスオーバー周波数が目標クロスオーバー周波数にできる限り近い値に維持する一方で、位相マージンを 30 度程度向上するように計算されます。
PI Expert では、個々の部品の値を操作できるだけでなく、必要な [エラー アンプのゲイン] 及び [目標クロスオーバー周波数] を入力することもできます。PI Expert では、これらの仕様に基づいて、作成した仕様に最適な部品の値が計算されます。
多くの設計では、スイッチング時の出力のリップルを軽減するために後段フィルタが使用されます。この後段フィルタは、コーナー周波数とクロスオーバー周波数との間に隔たりがあるように、また制御ループに悪影響を及ぼして、動作が不安定にならないように設計する必要があります。TOPSwitch ファミリーの場合は、LC フィルタでコーナー周波数が 10 kHz を上回るように、また DPA-Switch の場合は、コーナー周波数が 100 kHz を上回るように設計する必要があります。
表示される計算やチャートは、電源の性能の推定値に過ぎないことに注意してください。設計を検証するには、プロトタイプで実測値を得る必要があります。